本研究では、我が国における小児に対する 「いのち」 や 「死」 についての教育の実態を明らかにすることを目的とした。文献検討では医学中央雑誌 (Ver.5) から得られた15件の原著論文を対象として質的分析を行った。インタビュー調査は4名の研究者を対象とした。
その結果、以下のことが明らかになった。かつては 「死の教育」 などが主流であったが、近年は 「いのちの教育」 が増加していた。その変遷には学会の設立や行政の通達が影響していた。いのちの大切さを伝える際、自身の命の大切さについて伝えることによって、他者のいのちの大切さについても考えさせることができるとする考え方が存在した。また、医療機関だけでなく学校などにおいても、教師と協働しながら教育を実践していた。
ここから、 「いのち」 や 「死」 についての教育は、自身のいのちについて考えることが重要視されており、様々な場面での実施が可能であるということが示唆された。