日本臨床免疫学会会誌
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総説
呼吸器(肺高血圧症を除く)
桑名 正隆
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2004 年 27 巻 3 号 p. 118-126

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抄録
膠原病では様々な呼吸器病変がみられ, その中には従来の治療法で十分な効果が得られない難治性病態が含まれる. 代表的な難治性病態として皮膚筋炎に伴う急性・亜急性間質性肺炎, 強皮症に伴う肺線維症, 肺胞出血が挙げられる. 皮膚筋炎に伴う急性・亜急性間質性肺炎は組織学的にびまん性肺胞障害diffuse alveolar damage (DAD) を呈し, 治療反応性が悪い. 主に筋症状が乏しい抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体陰性例にみられ, 早期からの強力な免疫抑制療法の有効性が期待されている. 強皮症の約1/3の症例では線維化病態の強い非特異性間質性肺炎non-specific interstitial pneumonia (NSIP) を呈し, 緩徐に進行し, 呼吸不全に陥る. 肺胞炎を有する例ではシクロフォスファミドの有効性が示されている. 肺胞出血は時に致死的となる重篤な病態で, 全身性エリテマトーデスと顕微鏡的多発血管炎, ウェゲナー肉芽腫症を含む抗好中球細胞質抗体関連血管炎に伴ってみられ, 早期診断と集中管理が必要である. 今後, これら難治性病態のさらなる病態解明と有効な治療法の確立が望まれる.
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© 2004 日本臨床免疫学会
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