日本臨床免疫学会会誌
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総説
膠原病とCD40-CD154相互作用—病態形成における重要性と新規治療戦略としての可能性—
針谷 正祥
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2004 年 27 巻 6 号 p. 379-388

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抄録

  CD40およびCD154はそれぞれTNF受容体スーパーファミリー,TNFスーパーファミリーに属する分子であり,多くの研究結果が自己免疫疾患の病態形成におけるCD40-CD154相互作用の重要性を示している.CD154は主に活性化T細胞に発現し,B細胞のみならず幅広い細胞に発現するCD40と結合して,自己免疫疾患における抗原提示・トレランス・抗体産生・組織障害などに関与する可能性が示されている.膠原病の中では,特に全身性エリテマトーデス(SLE)あるいは関節リウマチ(RA)におけるCD40-CD154相互作用の研究が最も精力的に進められてきた.本稿では,SLE, RA,炎症性筋疾患,強皮症,抗リン脂質抗体症候群の病態形成におけるCD40-CD154相互作用の関与について基礎・臨床の両面からこれまでの報告を俯瞰すると共に,CD40-CD154阻害療法の臨床試験結果についても取り上げた.モデル動物でのCD40-CD154阻害療法は優れた治療効果を示し,新薬開発の標的分子として注目を集めている.しかし,現時点では有効性と安全性を両立するCD40-CD154阻害薬はいまだ開発されておらず,今後の研究の進展が強く期待される.

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© 2004 日本臨床免疫学会
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