日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:遺伝子チップを用いた臨床免疫研究の最前線
アレルギー疾患への応用
斎藤 博久
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2005 年 28 巻 2 号 p. 67-72

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抄録

  ゲノム科学の成果を基盤に,コンピュータサイエンスなどの手段を利用・開発し,システムレベルでの生命の原理を研究すると共に,創薬などに応用しようという研究分野である「システム・バイオロジー」が急速に発展している.人類の進化の過程において細菌やウィルスの侵入など日常的な擾乱に対して発達した免疫システムは,想定していない擾乱,すなわち抗生物質による無菌状態下における大量の花粉飛散などの状態に対して極めて脆弱である.したがって,増加し続けるアレルギー疾患病態を理解し,適切な予防治療方法を開発するためには,システムとしての理解が求められている.また,システムを理解することにより,今までは予期できなかった薬剤の副作用をあらかじめ予測できる様になる等の画期的なメリットが期待されている.本稿では,アレルギー炎症細胞特異的に発現し,副作用が少ないと予想される創薬標的遺伝子の発見を含めて遺伝子チップ(マイクロアレイ)をもちいたアレルギー疾患病態システム解析のいくつかの試みについて概説する.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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