日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説 特集:遺伝子チップを用いた臨床免疫研究の最前線
マイクロアレイの臓器移植への応用
松井 郁一斎浦 明夫菅原 寧彦児玉 龍彦幕内 雅敏
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 28 巻 2 号 p. 73-78

詳細
抄録

  免疫抑制剤の進歩により臓器移植は対象臓器の非可逆的臓器不全に対する確立した治療法の一つとなっている.しかし種々の合併症を併発する危険性も内包しており,急性・慢性拒絶反応もその一つである.臓器移植における拒絶反応ではアロ主要組織抗原(MHC)抗原に対しての特異的免疫反応が主たる原因であるが,現在用いられているステロイド,サイクロスポリンA,タクロリムスなどの薬剤はすべて抗原非特異的に作用する.そのため長期服用による発癌率の増加,ウイルス・真菌などへの易感染性など多くの問題を抱えている.現在の移植医療の問題点の一つはこのような抗原非特異的な免疫抑制であり,グラフト抗原特異的な免疫寛容の誘導は移植免疫における究極の目標である.近年,分子生物学の進歩により全遺伝子を網羅的に解析できるDNAマイクロアレイ技術が普及した.我々はこれまで,DNAマイクロアレイを用いてマウス心移植モデルにおける急性拒絶や免疫寛容の網羅的遺伝子発現を解析してきた.本稿では,これらのマイクロアレイ技術と今後の移植医療との融合に向けての課題を検討した.

著者関連情報
© 2005 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top