日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:遺伝子チップを用いた臨床免疫研究の最前線
骨免疫学への遺伝子チップ応用
高柳 広
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2005 年 28 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

  骨破壊を伴う炎症性疾患や免疫系遺伝子欠損マウスの骨異常などから,骨と免疫の密接な関係が注目を集め,骨免疫学と呼ばれる新しい分野が発展しつつある.骨免疫学のような学際領域では,ゲノムワイドなスクリーニングを多用して,従来の枠組みに縛られずに広い範囲の遺伝子群を解析対象とすることが特に重要である.破骨細胞分化因子(RANKL)は,炎症性骨破壊において中心的な役割を果たし,骨と免疫をつなげる重要な分子である.われわれは,遺伝子チップを用いたRANKL誘導遺伝子の解析から,破骨細胞分化のマスター転写因子NFATc1の同定に成功した.また,RANKLの共刺激シグナルの発見や,抗リウマチ薬の作用標的の解析などにおいても遺伝子チップのデータを活用して新しい遺伝子の機能解析へと結実させてきた.ここでは,遺伝子チップを用いた骨免疫学研究について概説する.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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