日本臨床免疫学会会誌
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総説
鉄代謝研究の進歩と鉄不応性貧血・感染防御への関わり
菱川 恭子岩井 一宏
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2005 年 28 巻 6 号 p. 372-380

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抄録
  鉄は赤血球のみならず生体の全ての細胞に必須な微量金属であると同時に,フリーラジカルの産生源となり,毒性を有するためにその代謝は厳密に制御されている.近年,鉄代謝制御機構研究は急速な進展を見せ,鉄貯蔵量に応じて,鉄吸収を制御するホルモンであるヘプシジンが同定され,ヘプシジンが慢性炎症時の鉄不応性貧血に関与する事が示されるなど新たな展開を見せている.また,これまで明らかでなかった鉄と感染防御の関連なども明らかになり,我々は従来想像していなかった細菌感染防御機構を備えていることが明らかになってきた.本稿で近年急速に理解が進んだ生体レベルでの鉄恒常性維持機構を中心に,筆者らの研究も含め鉄代謝研究の現状を概説し,今後の展望についても簡単に述べてみたい.
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© 2005 日本臨床免疫学会
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