抄録
シェーグレン症候群は,特定疾患治療研究事業の公費対象45疾患には含まれていないが,東京都は公費治療の指定難病として認定している.こうした試みを行なっている自治体はほとんどなく,東京都の認定基準は1999年の改定診断基準をもとに,合併症その他の要素が加味された独自のものである.今回,われわれはシェーグレン症候群の患者において臨床調査個人票の解析を通し,その認定基準と意義について検討した.その結果,東京都認定基準(平成15年度)の主要な目的は日常生活に障害を来たすほど腺症状が高度なものや臓器合併症のあるもの等の重症シェーグレン症候群を対象に認定することと思われた.しかしながら,生検,唾液腺シンチ,唾液腺造影等の検査はある程度の設備をもった施設でないと施行できない.より公平かつ簡易な認定のため,簡易な複数の検査の組み合わせでも補助項目として代用できるように検討されるべきと考えられた.また,申請書には6ヶ月以内の所見を要求されるため,コストがかかり,侵襲のあるこれらの検査が1年毎に必要であるという点や,認定・非認定の区別が現在の臨床調査個人票で妥当か否かという点等も今後検討を要すると思われた.