日本臨床免疫学会会誌
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総説
iNKT細胞:多彩な機能と病態への関与について
三宅 幸子
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2006 年 29 巻 1 号 p. 27-36

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抄録
  NKT細胞は,NKマーカーを発現するT細胞の総称だが,その多くはT細胞受容体(TCR)アルファ鎖に可変性のないinvariant鎖(マウスではVα14Jα281,ヒトではVα24JαQ)を発現するiNKT細胞である.iNKT細胞は,多型性のないCD1d分子により提示された糖脂質を抗原として認識し,TCRを介した刺激によりIL-4, IFN-γを短時間で大量に産生することから,その免疫調節機能が注目されている.抗原受容体の半可変性,クローン性の増殖を必要とせず組織に多数存在し,すぐに反応を開始できることなどは自然免疫系と獲得免疫系の中間的存在で,様々な免疫の初期応答や,自己免疫等の調節に重要である.また,α-ガラクトシルセラミドやその誘導体であるOCHなどの合成糖脂質抗原を用いて,NODマウスにおける糖尿病や実験的自己免疫性脳脊髄炎,コラーゲン関節炎などの臓器特異的自己免疫性疾患の抑制や癌抑制,ウイルス性肝炎抑制などを行う試みが報告され,iNKT細胞は様々な疾患治療の標的としても注目されている.
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© 2006 日本臨床免疫学会
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