レチノイドとは,核内ホルモン受容体スーパーファミリーに属するレチノイン酸受容体(RARα, β, およびγとRXRα, β, およびγ)に結合し,これらを活性化する化合物の総称である.内在性に存在する最も重要な生体内レチノイドは,all-trans-レチノイン酸(ATRA)であり,これはRARα, β, γを区別なく活性化する.ATRAおよびその類似化合物が急性前骨髄球性白血病(APL)や皮膚疾患の治療に用いられている一方で,数多くの合成レチノイドが合成され,医薬としての性状を改善する試みも行われている.中でも,タミバロテン(Am80)は,RARα, βのみを活性化し,RARγやRXRsには結合しない特徴的な合成レチノイドである.Am80は,乾癬と再発APLの治療において有効性が確認されていることに加え,コラーゲン誘導関節炎モデルや実験的自己免疫性脳炎(EAE)においてもその効果を示す.レチノイドは,特にTh1優勢な自己免疫疾患に有効ではないかと考えられる.