抄録
1994年,Long Pentraxinとして最初に発見されたPentraxin 3 (PTX3)は免疫や炎症において重要な役割を担っている.Pentraxin類はLong PentraxinとShort Pentraxin (CRP : C反応性蛋白,SAP:血清アミロイドP)に分類されるが,その共通点はC-端末Pentraxinドメインを有することであり,その違いはLong Pentraxinにunrelated long N-端末ドメインが存在することである.PTX3は炎症に反応して,血管内皮細胞やマクロファージなどの全身の細胞より産生される為,肝臓のみにより産生されるShort Pentraxinと異なり,局所的な感染や炎症に敏感に反応する指標として役立つと考えられる.また正常な状態では,血液中のPTX3レベルは極めて低いが,一旦激しい炎症が起こるとそのレベルは急激に上昇する.臨床において,PTX3の血清レベルが特定の炎症性疾患の重症度,治療や予後などと相関するとの報告がされている.本稿では,炎症反応におけるPTX3の役割とその臨床応用について述べる.