抄録
症例は13歳,女児.2000年8月発熱,下痢,嘔吐,関節痛,鼻出血,全身倦怠感あり,前医を受診した.血小板減少,抗核抗体,抗DNA抗体,PAIgGが陽性のため特発性血小板減少性紫斑病,全身性エリテマトーデス(SLE)の疑いで経過観察されていた.2001年1月麻疹に罹患後より,腹痛が出現し,尿蛋白・潜血陽性,左水腎,左尿管狭窄・拡張を認めた.症状は輸液,NSAIDsで軽快したが,2月発熱,両頬部紅斑認めSLEと診断され,当科入院となった.患児はシェーグレン症候群を併発したSLEで,経静脈性腎盂造影で左水腎,左尿管狭窄・拡張,膀胱内視鏡で左尿管口付近に発赤を認めた.同部位の病理所見で,SLEにみられる血管炎の所見が存在し,ループス膀胱炎と診断した.外科的治療は行わず,経静脈的シクロホスファミド(IVCY)パルス療法(計8回,1年間)を導入し,維持治療をプレドニゾロン,アザチオプリンとした.IVCYパルス療法1年間終了後,左水腎症,尿管拡張・狭窄は著明に改善した.副作用も認めておらず,現在内服治療のみで寛解維持ができている.小児期発症SLEにループス膀胱炎を合併し,IVCYパルス療法が著効した症例を経験したため報告した.