日本臨床免疫学会会誌
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原著
関節リウマチに対するインフリキシマブの血清COMP濃度測定を用いた軟骨破壊抑制効果の解析
山本 元久高橋 裕樹小原 美琴子鈴木 知佐子苗代 康可山本 博幸篠村 恭久今井 浩三
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2007 年 30 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

  近年,関節破壊をきたす病態において,血清cartilage oligomeric matrix protein (COMP)の測定が可能となり,軟骨破壊を反映する新規マーカーとして注目されている.今回,リウマチ性疾患に対する血清COMPの診断能を評価し,その上でインフリキシマブ(IFX)を投与した関節リウマチ(RA)症例を対象に,1年間の治療による軟骨破壊抑制効果を,10例の治療前後の血清COMP濃度と6例のSharp scoreの変化(ΔSharp)で評価,解析した.血清COMP濃度は,投与前の平均23.04±7.14 U/lから治療後は8.69±2.89 U/lまで低下した.またこの期間のΔSharpは0.17±9.62点であった.このうち軟骨の画像上の変化を反映する,関節裂隙狭小化スコアの変化(ΔSharp-JNS)は−0.50±6.38点であった.当初,これらの症例ではIFXと併用されているメトトレキサート(MTX)の効果も加味されていると考え,参考としてMTX単独治療群(CRP陰性化群およびCRP陽性群)も合わせて評価したが,これらの群では血清COMP濃度およびΔSharp-JNSの低下は認められなかった.このことからIFX治療自体が軟骨破壊を抑制し,血清COMP濃度がその治療効果判定マーカーとして,有用である可能性が示唆された.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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