日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:Autoinflammatory syndromeの新たなる展開と治療法の確立
NOD蛋白質の機能から考える『自己炎症疾患』発症の分子メカニズム
増本 純也長谷川 瑞穂猪原 直弘
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2007 年 30 巻 2 号 p. 68-77

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抄録

  最近,自然免疫機構に関わる病原体認識受容体に関する研究が急速に進みつつある.特に,細胞膜に存在するToll-like receptor (TLR)が有名であるが,細胞質にも同様の病原体を認識するnucleotide-binding oligomerization-domain protein(NOD)蛋白質とよばれる病原体認識受容体が存在する.NOD蛋白質のひとつであるNod2の変異が,炎症性腸疾患であるクローン病の罹りやすさと関係するという報告後,家族性寒冷蕁麻疹(Familial cold urticaria : FCU)/家族性寒冷自己炎症疾患(Familial cold autoinflammatory syndrome : FCAS), Muckle-Wells syndrome (MWS),新生児発症全身炎症疾患(Neonatal onset multisystem inflammatory disease : NOMID)/慢性乳児期発症神経皮膚関節症候群(Chronic infantile neurologic cutaneous and articular syndrome : CINCA)とNOD蛋白質の一つであるpypaf1/NALP3/cryopyrinの変異など,NOD蛋白質の変異と自己炎症疾患との関連が報告されている.本稿では,これらNOD蛋白質の発見の歴史,NOD蛋白質の機能を概説し,NOD蛋白質の変異がどのようなメカニズムで自己炎症疾患に関わっているのかを解説する.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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