日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:Autoinflammatory syndromeの新たなる展開と治療法の確立
家族性地中海熱:MEFV遺伝子異常と治療法の実際
斎藤 潤西小森 隆太神戸 直智
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2007 年 30 巻 2 号 p. 78-85

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抄録

  家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever : FMF)は,遺伝性周期熱症候群のひとつであり,地中海沿岸に居住するSephardim(中東および北アフリカ系ユダヤ人),アラブ人,アルメニア人,トルコ人に好発する.日本人ではまれである.周期的な発熱発作が特徴的な症状で,発作時には腹膜炎,胸膜炎,関節炎などの漿膜炎を伴う.繰り返す炎症により,続発性アミロイドーシスとそれによる慢性腎不全を合併することがある.FMFは常染色体劣性遺伝形式をとり,16番染色体に存在するMEFV遺伝子の変異により発症する.MEFV遺伝子はpyrinという蛋白をコードしている.Pyrinは,IL-1β産生やNF-κB活性化を制御する蛋白であり,FMF患者ではpyrinの機能が損なわれることにより,炎症性サイトカインの産生が増強され,制御できない炎症が惹起されると考えられている.治療の第一選択薬はコルヒチンであり,約90-95%の患者に奏功する.コルヒチンは,続発性アミロイドーシスの予防にも有効である.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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