日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説
全身性強皮症の病態におけるケモカインの役割
長谷川 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 31 巻 1 号 p. 23-36

詳細
抄録

  全身性強皮症は,皮膚や内臓臓器の過剰な細胞外基質蛋白の沈着と血管障害により特徴づけられる自己免疫疾患である.その病態はいまだ不明であるが,ほとんどの症例がレイノー現象という虚血再還流による臨床症状で発症する.繰り返すレイノー現象による血管内皮細胞障害がトリガーとなって,組織への細胞浸潤,浸潤細胞からのサイトカイン産生が生じ,組織の線維化が生じる可能性が考えられる.これらの過程において,ケモカインは白血球の浸潤,活性化とそれに引き続く浸潤細胞と線維芽細胞との相互作用などを介して,重要な役割を果たしているものと考えられる.これまでに,強皮症やそのモデルマウスにおいて多様なケモカインの発現異常や病態への関与を示唆する知見がみられるが,中でもmonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1/CCL2)とその受容体であるCCR2の役割が重用視されている.本総説では,これまでに報告されている各種ケモカインの強皮症において想定される役割について概説する.

著者関連情報
© 2008 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top