日本臨床免疫学会会誌
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総説
T細胞分化における非定型Gタンパク質RhoHの機能
鈴木 春巳小田 浩代
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2008 年 31 巻 1 号 p. 37-46

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抄録
  低分子Gタンパク質は細胞の増殖,アクチン再構成,膜輸送をはじめとする様々なシグナル伝達に広く関与している分子群であり,GTP型とGDP型とに相互変換することで分子スイッチとして働いている.ところが,150種もある低分子Gタンパク質の中には,この大原則に従わない「非定型Gタンパク質」も多数存在する.近年これらの分子の機能が明らかになるにつれ,次第に注目を集めるようになってきた.Rac1の選択的スプライシング産物であるRac1b分子は非定型Gタンパク質であり,大腸がんや乳がん細胞において過剰発現していることから腫瘍化との関連が指摘されている.この稿では,造血系細胞に特異的に発現する非定型RhoファミリーGタンパク質,RhoHに着目し,T細胞の分化,シグナル伝達におけるRhoHの新しい機能について,最近の我々のデータも含めて解説したい.
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© 2008 日本臨床免疫学会
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