日本臨床免疫学会会誌
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総説
原発性胆汁性肝硬変と自己抗体
宮地 清光宮川 浩織田 正也堀米 恒好MJ FRITZLER
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2008 年 31 巻 1 号 p. 47-55

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抄録
  原発生胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis, PBC)患者血清に抗ミトコンドリア抗体が発見されてから50年になる.PBCの患者の85~95%に本抗体は出現しますが,対応抗原はミトコンドリア内膜にあるピルビン酸脱水素酵素群(pyruvate dehydrogenase complex, PDC)群のE2と,E3 binding proteinなどであることが解明された.抗セントロメア抗体もPBCの20~30%に認められるが,培養細胞(Hep 2など)を用いれば,AMAとともに容易に検出できる.しかし,抗核膜抗体,抗multiple nuclear dot抗体は他の抗核抗体が併存するとその検出は困難である.最近PBCに出現する抗核膜抗体の中では抗gp210抗体が高頻度であること,抗multiple nuclear dot抗体の対応抗原がsp100であることが証明された.この2つのリコンビナントタンパクを利用してELISAで検索すると容易に検出でき,特にAMA陰性PBCにも検出された.これらの抗体の臨床的意義は明らかにされていない部分があるが,抗gp210抗体はPBCの予後が悪いマーカーで,進行と関係があるという報告が多い.
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© 2008 日本臨床免疫学会
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