抄録
特異抗原を標的とするモノクローナル抗体の治療への応用,すなわち抗体医薬の開発が世界中でブームを引き起こしている.わが国オリジナルの日本初の抗体医薬であるヒト化抗IL-6受容体抗体“トシリズマブ”はIL-6の過剰産生が病態形成にかかわっている免疫疾患や炎症性疾患の治療薬として開発された.2005年に希少疾患であるキャッスルマン病に世界に先駆けて承認されていたが,本年4月に,関節リウマチと若年性特発性関節炎の治療薬として追加承認された.いずれの疾患に対しても従来の抗リウマチ薬や免疫抑制剤による治療にくらべて優れているばかりでなく,関節リウマチに関してはすでに承認時に国内だけでも1900患者・年に及ぶ安全性のデータが治験の中で蓄積されている.トシリズマブが臨床現場で使用可能になり,これらの難治性疾患に対する治療法に大きな変革がもたらされることが期待される.