抄録
【目的】抗CCP抗体は,関節リウマチ(RA)の血清中に特異的に検出される自己抗体として注目されている.今回われわれは,早期RAにおける抗CCP抗体の有用性の検討を行った.【対象・方法】発症後2年以内の多関節炎を主訴に当科を受診した184例において,抗CCP抗体,IgM-RF,抗ガラクトース欠損IgG抗体,MMP-3を測定し,RAの確定診断,疾患活動性,治療について検討した.【結果】184例中RA確定診断に至った症例は80例であった.抗CCP抗体の感度は60%,特異度は89.4%,診断正確度は76.6%であり,その他のマーカーと比較し,感度は同等,特異度,診断正確度は高かった.また,初診時に診断未確定で経過中RAと診断された38例における抗CCP抗体の陽性率は55.3%であった.一方,抗CCP抗体陽性および陰性患者のDAS28ESRはそれぞれ5.16,5.34であった.【考案】抗CCP抗体は,早期RA患者でIgM-RFと同程度の感度を示し,RAの早期診断に有用であると考えられた.