日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
自己免疫性肝炎および血栓性血小板減少性紫斑病を合併した全身性エリテマトーデスの1例
園本 格士朗宮村 知也渡邉 秀之中村 真隆高濱 宗一郎安藤 仁南 留美山本 政弘末松 栄一
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2009 年 32 巻 2 号 p. 110-115

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抄録

  症例は51歳女性.平成19年8月中旬より黄疸が出現.近医にて抗核抗体陽性を指摘され,24日当科紹介受診.円板状皮疹,光線過敏症,リンパ球減少(128/μl),抗ds-DNA抗体61.8 IU/ml,抗核抗体1280倍より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.T.bil 19.1 mg/dl, D.bil 15.0 mg/dl, AST 1313 IU/l, ALT 374 IU/l, PT 63%と黄疸,肝機能障害を認め,自己免疫性肝炎(AIH)が疑われた.さらに,血小板減少(9.4万/μl),腎機能障害(Cr 1.7 mg/dl), ADAM-TS13活性36%より血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断した.ステロイドパルス療法,新鮮凍結血漿輸注を施行し,症状,検査所見の改善を見た.治療後に施行した肝生検ではinterface hepatitis,リンパ球優位の細胞浸潤を認め,AIHスコア20点よりAIHと確定診断した.AIH, TTPはSLEの合併症として知られているが,両者を合併した症例は稀と考えられ,文献的考察を含め報告する.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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