日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
FDG-PETを契機に大型血管炎の合併を診断し得たリウマチ性多発筋痛症の1例
柴田 朋彦柴田 俊子尾崎 承一市川 陽一伊藤 彦
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2009 年 32 巻 2 号 p. 129-134

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抄録
  74歳女性.突然発症の発熱,近位筋痛をきたしリウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断された.側頭動脈に圧痛や拡張を認めず,眼底所見も正常であった.18F-FDG-PETを施行したところ,大動脈および両側鎖骨下動脈にFDGの集積を認め大型血管の炎症が強く疑われた.Magnetic resonance angiographyでは,両側鎖骨下動脈の狭窄を認め血管炎の所見に矛盾しなかった.本症例は高齢発症でPMRを合併,さらにHLA DR4陽性で,合併した大型血管炎は大血管型巨細胞性動脈炎(Large-vessel GCA)と考えられた.Prednisolone 20 mg/日の投与を開始し,速やかに解熱.筋痛も改善した.PMRでは側頭動脈の圧痛や拡張等の臨床症状を伴わなければGCAの診断は困難である.FDG-PETは悪性腫瘍の検索だけでなく,PMRに潜在する大型血管炎の評価に有用であると考えられた.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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