日本臨床免疫学会会誌
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総説
IL-27の免疫制御作用:自己免疫疾患への治療応用
吉田 裕樹
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2009 年 32 巻 4 号 p. 202-213

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抄録

  IL-12関連サイトカイン,IL-27, 23は活性化した樹状細胞から産生され,ヘルパーT細胞の分化に深く関わる.IL-12, 27, 23は,主としてIFN-γを産生し細胞性免疫をつかさどるTh1型ヘルパーT細胞の分化を誘導する.さらに,IL-23は,IL-17を産生し炎症性疾患の病態形成に関与するTh17と呼ばれるヘルパーT細胞の分化を促進し,炎症誘導に関わる.一方,IL-27はTh1細胞の分化誘導作用に加えて,免疫・炎症抑制作用を持つ.IL-27は,IL-23と逆にTh17の分化を抑制する作用を持ち,この働きが失われたマウスではTh17細胞が増加し,自己免疫性脳炎や,感染に続発する炎症病理が増悪する.さらに,IL-27は活性化T細胞による様々な炎症性サイトカイン産生を抑制する.IL-27の持つ免疫抑制作用の一部は,活性化T細胞に対して免疫抑制性サイトカインであるIL-10の産生を誘導することによると考えられている.IL-27投与,あるいはIL-27受容体シグナル増強により,マウスにおける自己免疫性脳炎,コラーゲン誘発性関節炎,遅延型過敏症,全身性ループスエリテマトーデスなどに対する治療効果が得られる.このIL-27の免疫制御作用は,自己免疫性疾患や炎症性疾患に対する治療応用の観点から注目を集めている.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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