日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
気道病変をCTで定量的に評価できた再発性多発性軟骨炎の一例
東 直人高田 恵広西岡 亜紀神田 ちえり関口 昌弘北野 将康黒岩 孝則橋本 尚明松井 聖岩崎 剛佐野 統
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2009 年 32 巻 4 号 p. 279-284

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抄録

  症例は63歳,女性.耳介発赤・腫脹,鼻根部発赤,眼球結膜充血,多関節痛,咳嗽,労作時呼吸困難感で当科受診.Damianiらの診断基準に基づき再発性多発性軟骨炎(RP)と診断.抗II型コラーゲン抗体も高力価陽性であった.呼吸機能検査で1秒率の低下,フローボリューム曲線(FVC)でピークフロー(PEF)の低下を認め,中枢気道の閉塞性障害が示唆された.胸部CTでは気管から左右主気管支にかけ気道壁の全周性肥厚を認めた.これらはRPに伴う気道病変と考えられ,methylprednisolone (mPSL) 32 mg/日による加療を開始したところ炎症所見,1秒率,CT所見は速やかに改善した.従来のCTでの気道評価は定性的で,我々は定量性を持たせるため気道壁厚の指標となるpercentage wall area (WA%)およびpercentage wall thickness (WT%)を測定し,経時的に比較した.加療開始後速やかにWA%, WT%は減少し,mPSL漸減中も減少傾向は続いた.呼吸機能検査,FVC, PEFおよびCTでの定性および定量評価を併用することは,いずれも非侵襲的検査であり,かつRPの気道病変を機能面と構造面から評価でき非常に有用と考えられた.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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