日本臨床免疫学会会誌
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総説
川崎病の罹患感受性遺伝子の同定
尾内 善広
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2010 年 33 巻 2 号 p. 73-80

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抄録
  川崎病(Kawasaki disease)は乳幼児に好発する原因不明の急性熱性疾患である.症例の多くは自然軽快するが,無治療で経過した川崎病患児の約20~25%に冠動脈瘤や拡張に代表される冠動脈病変が生じ先進国における小児の後天性心疾患の最大の原因となっている.川崎病は東アジア,特に日本人に多く発症すること,同胞間の再発危険率が高いことなどから遺伝的要因が原因の一端を担っていると考えられ,その解明に向けた研究が国内外で進んでいる.我々は罹患同胞対解析と連鎖不平衡マッピングを組み合わせたゲノムワイドアプローチによりinositol 1,4,5-trisphosphate 3-kinase-C(ITPKC)が人種間に共通した川崎病の感受性遺伝子であることを発見した.ITPKCがT細胞内におけるNFATを介したサイトカイン産生に抑制的に働くこと,イントロン1に位置する機能的多型によりITPKC産物が減少するメカニズムも判り,川崎病の病態にCa2+/NFAT経路が重要であることが示唆された.Ca2+/NFAT経路を抑制するシクロスポリンA(CsA)やFK506がエヴィデンスに基づく川崎病の治療薬となる可能性を検討中である.今後はさらに検討の幅を広げ,さらなる感受性遺伝子の同定を通じ川崎病の臨床へ貢献したいと考えている.
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© 2010 日本臨床免疫学会
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