日本臨床免疫学会会誌
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6学会合同特別シンポジウム
6学会合同特別シンポジウム1-5  接触皮膚炎の病態解析とその応用
相場 節也
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2012 年 35 巻 4 号 p. 269

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抄録

  これまでに,我々は接触皮膚炎における感作メカニズム,また,その結果として生じる湿疹病変形成メカニズムを解析してきた.その結果,接触皮膚炎が,経皮的に侵入してくる求電子物質であるハプテンと求核物質であるペプチド,タンパク質との反応による抗原エピトープの形成と樹状細胞活性化により引き起こされる免疫反応で有ること,その結果として生じる湿疹病変(組織学的海綿状態)が,抗原特異的T細胞(Th1ないしTh2細胞)が産生するIFN-γやIL-4/IL-13に刺激された表皮細胞によるhyaluronan産生誘導とE-cadherin発現抑制を介した経皮侵入してきた有害化学物質の稀釈反応と位置付けられることを明らかにしてきた.
  近年,EUなどを中心に化粧品開発における動物実験が厳しく規制され,2013年からは動物実験を行った化粧品のEU内での販売が全面的に禁止される.我々は,感作メカニズムを解析するなかで,動物を用いずにハプテンとそれ以外の化学物質を識別する方法を開発してきた.また,最近では,それらを応用した化学物質の免疫毒性評価あるいは抗TNF-α製剤の血中濃度モニタリングなどcell based assayの開発も行っている.本シンポジウムでは,接触皮膚炎の機序の解析ならびに,それから派生したcell based assay開発にいたる経緯をお話する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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