日本臨床免疫学会会誌
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W6-4  小児期発症全身性エリテマトーデスの臨床と治療(小児と成人との比較)
根路銘 安仁武井 修治
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2012 年 35 巻 4 号 p. 312b

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抄録
  SLEの25%が20歳未満で発症し,5歳以降発症率は成人まで次第に増加する.小児期発症全身性エリテマトーデス(以下小児SLE)は,成人SLEと同じ症状を呈する.しかし,成人例に比し重症例が多いことが報告されている.全国調査で,1980~1994年と1995~2006年に発症した小児SLEの10年生存率は,92.3%から98.3%と改善が達成されたが,event-free生存率は66.1%に過ぎず,永続的な機能障害を残す小児発症例が多いことを示している.
  初発症状では,発熱,蝶形紅斑や尿異常が成人に比し多く,関節症状は少ない.また,腎炎の合併率も高い.検査では低補体血症の頻度が高い.そのため診断においてはACRの分類基準は小児にも用いることができるが,これに低補体血症を加えた小児SLE診断の手引きは診断感度が優れ,特異度も同等である.
  治療においては成人と同等の治療法が用いられている.小児は重症例が多いため永続的な機能障害を残さないように,ステロイドや免疫抑制剤,エンドキサンなどを初期段階から選択することも必要で,小児だからという理由で避けるのではなくリスクを考慮しながら選択することが重要である.これらの治療を成長期・思春期に行うため,心身ともの成長期,怠薬や性の問題があり,患児との信頼関係,学校との調整なども治療上考慮すべきである.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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