2012 年 35 巻 4 号 p. 313a
【目的】
PM/DMは悪性腫瘍を伴うことがある.抗p155/140抗体は悪性腫瘍と密接に関連するが,他の自己抗体の意義は明確でない.日本人の悪性腫瘍合併筋炎の臨床的特徴と自己抗体との関連を追求した.
【対象と方法】
DM 105, PM 75例の保存血清を用い,HeLa細胞を抗原とするRNA免疫沈降法及び蛋白免疫沈降法により抗体を検出した.悪性腫瘍合併例の臨床的特徴を非合併例と比較し,自己抗体のプロフィールを解析した.
【結果】
21例(11.7%)に悪性腫瘍の合併を認めた.男女比は11:10とほぼ同等であり,筋炎発症時の平均年齢は悪性腫瘍合併例で58.3歳と非合併例51.3歳に比べ高齢であった.特定の悪性腫瘍との関連は認めなかった.抗p155/140抗体は11例と最も高頻度で,抗ARS抗体8例,120 kDa蛋白を沈降する未知の抗体2例も認めた.抗p155/140抗体陽性例は全例DMで,抗ARS抗体陽性例はPM5例とDM3例,未知抗体は全例PMであった.抗ARS抗体と未知抗体陽性例は73%で筋炎発症が平均5.25年悪性腫瘍に先行していたのに対して,抗p155/140抗体陽性例は全例DM診断時に進行癌を認めた.
【結語】
悪性腫瘍合併筋炎では抗p155/140抗体が高頻度に出現し,DM診断時に進行癌を呈していた.高齢発症DMは筋炎特異抗体の検査が有用であり,悪性腫瘍合併を念頭に治療介入を行う必要がある.