日本臨床免疫学会会誌
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W7-2  脂質会合分子による自己抗体産生への影響
高村(赤司) 祥子山川 奈津子大戸 梅治中西 広樹清水 敏之三宅 健介
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2012 年 35 巻 4 号 p. 314b

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抄録
  病原体認識分子群であるTLRに会合する分泌蛋白MD-1およびMD-2は,脂質が入るポケットをもつ脂質会合分子でもある.MD-2のポケットにはLPSの活性中心・LipidAが含有され,TLR4と会合しLPS認識応答が開始される.MD-1は,TLR4と同様な構造をもつRP105に会合しTLR4/MD-2を介するLPS応答を増強させるが,MD-1のポケットにはLipidAの前駆体LipidIVaのほかPC,PEなどのリン脂質が含有されることが報告されている.われわれは作製した抗MD-1抗体を用いてMD-1が血清中にも存在することや,MD-1が陰性荷電リン脂質とも結合することを見出した.自己免疫疾患モデルマウスであるB6/lprとかけあわせたTLR2あるいはTLR4KOマウスでは,ワイルドタイプを掛け合わせた群に比べ症状が軽減すること,RP105/MD-1はTLR2, TLR4とも会合するなどの報告があることなどから,RP105/MD-1の関与による自己抗体産生への影響を検討した.その結果B6/lprとMD-1KOマウスを掛け合わせた群では,ワイルドマウスをかけあわせた群に比べ抗リン脂質抗体上昇が認められた.RP105/MD-1はLPSなどの病原体成分に対してTLR4/MD-2による認識応答を増強させるが,生体内脂質に対してはTLR4/MD-2を介する認識応答を抑制させることが示唆された.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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