抄録
Triggering receptor expressed on myeloid cells (TREM)-1は,マクロファージに発現し,その阻害は,感染防御に必要な炎症性サイトカインは温存し,炎症を抑制することが示唆されている.我々はこれまでに感染合併の少ない抗リウマチ薬の開発を目指しTREM-1の関節リウマチ患者滑膜細胞での発現,及びTREM-1Ig投与によるコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスでの治療効果を検討した.さらに,マウスTREM-1リガンド分子(TREM-1L)をB細胞上に同定し,抗TREM-1L抗体投与によるCIAでの治療効果を報告した.しかし,(1)抗TREM-1L抗体の作用機序及び,(2)ヒトTREM-1L分子は不明であった.今回これらの解明を目的として解析を行った.(1)TREM-1L強制発現細胞での抗TREM-1L抗体架橋では,細胞内ITIMモチーフのリン酸化は認められなかった.マクロファージ及びB細胞共培養系ではTNFα産生が見られたが,抗TREM-1L抗体添加によりマクロファージからのTNFα産生は低下した.これらより,抗TREM-1L抗体によるCIA改善効果はTREM-1Lへのシグナル伝達によるものではなく,マクロファージのTREM-1を介した活性化阻害によることが示唆された.(2)ヒトTREM-1IgはマウスTREM-1Lの推定上のヒトorthologueとは結合を認めなかったが,マクロファージ細胞株U937と結合した.同細胞を用いた発現クローニングを行いヒトTREM-1Igと結合する分子を同定した.ヒトTREM-1L分子の修飾により新規関節炎治療薬開発が期待される.