抄録
高等植物ではクロロフィルaは7-ヒドロキシメチルクロロフィルaを経てクロロフィルbに転換され、クロロフィルbは再び7-ヒドロキシメチルクロロフィルaを経てクロロフィルaに戻る。我々はこの転換系をクロロフィルサイクルと呼んでいる。
我々はクロロフィルサイクルに関与する酵素及び調節因子を同定することを目的としてシロイヌナズナのEMS処理株のうち、光合成色素が野生株と異なる蓄積をする変異株をスクリーニングした。その結果、7-ヒドロキシメチルクロロフィルaを蓄積する変異体を単離することができた。この変異体は3日間暗所で老化誘導を行うと野生型に比べて10倍以上の7-ヒドロキシメチルクロロフィルaが蓄積することがわかった。また老化誘導を行わなくても数倍以上の7-ヒドロキシメチルクロロフィルaが蓄積することがわかっている。またこの変異体は野生株と比べて植物体が小さく、葉は薄緑色で柔らかい。またこの変異は劣性であることもわかっている。
現在、マップベースクローニング法により原因遺伝子の単離を試みている。