日本臨床免疫学会会誌
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W8-2  炎症性腸疾患のマウスモデルを用いた病態解析
土肥 多惠子
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2012 年 35 巻 4 号 p. 316b

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抄録
  炎症性腸疾患のマウスモデルを用いた病態解析炎症性腸疾患(IBD)とはクローン病,潰瘍性大腸炎を指し,共に消化管をおかす難治性の慢性炎症性疾患で,急激に増加している.原因は未だ不明であるが,常在する腸内細菌叢に対する過剰な免疫応答がその病態の重要な部分であることがわかってきている.
  消化管免疫学のなかでも,IBDの病因病態研究は,動物疾患モデルの導入によって発展してきたと言っても過言ではない.特に遺伝子改変動物モデルの解析により分子レベルでの消化管の恒常性維持機構が明らかになってきたと言える.これまでの数多くの遺伝子改変マウスや実験モデルとしての腸炎が報告され,その結果,様々なタイプの細胞の異なった因子による免疫応答の異常が,最終的なアウトプットとして腸炎という共通のフェノタイプを示すこともわかってきた.さらに,近年GWASにより,あらたに100個以上のIBD感受性遺伝子が見つかっており,これらの遺伝子機能とIBDの病態を関連づけて理解するために,今後も動物モデルは重要な役割をはたすはずである.さらに,動物腸炎モデルは,新たな治療法の探索,治療薬の効果及び安全性の評価のためにも,なくてはならない重要なツールでもある.本ワークショップでは,それぞれのモデルの特徴を示しながら,私たちの最近の病態解析・治療ターゲット探索研究の成果であるTNFスーパーファミリー分子TWEAKの役割を中心に発表する.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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