抄録
【背景・目的】野生型naive CD4+ T細胞をrecombination-activating gene欠損マウス(RAG−/−)に移入するとeffecter memory T細胞(TEM)が誘導され大腸炎を惹起するが,interleukin (IL)-7非存在下(IL-7−/−RAG−/−)では大腸炎は発症しない.これにはIL-7の欠損だけでなくアポトーシスなど細胞傷害活性の関与が推測されたことから,我々はこのモデルにおけるnatural killer (NK)細胞の機能を解析した.【方法・結果】RAG−/−およびIL-7−/−RAG−/−の脾臓由来NK細胞の表面抗原や機能を解析した結果,分化マーカーやサイトカイン産生,TEMに対する細胞傷害活性はIL-7の有無によって影響されなかった.抗asialo GM1抗体の投与でRAG−/−のNK細胞を除去し,naive T細胞の移入後早期の腸間膜リンパ節を解析した結果,移入5日後よりCD44+ CD62L−およびCD44− CD62L−のT細胞分画が増加した.RAG−/−およびIL-7−/−RAG−/−へnaive T細胞を移入して大腸炎を誘発しつつ,抗asialo GM1抗体を第1-4週,第5-12週,第1-12週に投与した各群と12週間の溶媒コントロール投与群を比較すると,第5-12週抗体投与群ではコントロール投与群同様に腸管の炎症を誘導せず,第1-12週抗体投与群では大腸炎が顕在化した.第1-4週投与群も同様の大腸炎を発症し,投与中止後も炎症は持続した.【結論】NK細胞はnaive T細胞からTEMへの分化段階における早期を標的とし,腸炎の発症を抑制していることが示唆された.