抄録
【背景・目的】Fingolimodは多発性硬化症(MS)の再発抑制効果を有するが,視神経脊髄炎(NMO)では効果が疑問視されている.MS病態ではB細胞サブセットの中でもメモリーB細胞(mB)の重要性が示唆されており,我々はNMOにおけるプラズマブラスト(PB)の重要性を報告した.今回,同薬のB細胞サブセットへの影響を検討する.【方法】対象は2010年McDonald診断基準を満たすMS 6名.フローサイトメトリーにて末梢血単核細胞(PBMC)中のB細胞サブセット(ナイーブ,mB,PB)の割合とケモカイン受容体,HLA-DR,活性化マーカーCD38の発現率,PB分化マーカーCD138の平均蛍光強度(MFI)を投与前と2週間後で解析した.【結果】PBMC中のB細胞サブセットの割合は有意に低下した(p<0.05).mBではHLA-DRのMFI,CD38発現率が有意に低下し(p<0.05),活性化の低下と考えられた.PBではCD138陽性率が有意に増加し(p<0.05),同陽性群でのCXCR3発現率の増加傾向を認めた.【考察】MSではmBが末梢血から中枢神経系へ浸潤し,病態形成に関与することが示唆されている.Fingolimodにより末梢血mBの減少のみならず,残存mBの活性化低下が明らかとなり,再発抑制機構の一因と推測される.昨年我々は学会で,CD138陽性PBがNMO再発時にCXCR3依存性に中枢神経系へ浸潤することを報告した.Fingolimodによる同群の割合増加は,NMOでの無効に関連する可能性がある.