抄録
B細胞は,関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の病態形成に重要な役割を担う.Btk(Bruton's tyrosine kinase)はB細胞受容体(BCR)のシグナルに重要な役割を果たすが,ヒトB細胞におけるBtkの役割は明らかでない.そこで,B細胞の分化,抗体産生におけるBtkの役割を解析した.末梢血B細胞のAICDA(AIDコーディング遺伝子)の発現,IgG産生は,BCR刺激,BCRおよびsCD40L/sBAFF刺激,または,IL-21刺激では,わずかに誘導されるのみであった.しかし,BCR, sCD40L/sBAFF, sIL-21の3者の刺激により,強力なAICDAの発現とIgG産生の誘導が認められ,特異的Btk阻害剤(ONO-A)により,濃度依存性にIL-21単独刺激と同程度まで抑制された.以上より,Btkを介したBCR/BAFF/CD40シグナルは効率的なIL-21のシグナル伝達に重要で,その結果,ヒトB細胞にクラススイッチおよび抗体産生を誘導すると考えられた.これらの結果,及び,Btk阻害剤のコラーゲン誘導関節炎マウスに対する有効性,BtkトランスジェニックマウスにおけるSLE様病態の報告等から,BtkはB細胞依存性の自己免疫疾患の炎症病態形成に重要な役割を担う可能性が示唆された.