日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-027  全身性強皮症の病態におけるビスファチンの役割
増井 友里浅野 善英柴田 彩門野 岳史佐藤 伸一
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2012 年 35 巻 4 号 p. 340a

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抄録

  全身性強皮症は皮膚および内臓諸臓器の線維化と血管障害を特徴とする全身性の自己免疫疾患である.その発症機序はいまだ不明であるが,炎症・自己免疫・血管障害など様々な要因により線維芽細胞が恒常的に活性化され,結果的に細胞外基質の過剰な沈着が生じると考えられている.その過程にはTGF-βをはじめとし,多くの炎症性サイトカインや成長因子が関与していることが明らかにされている.
  ビスファチンは主に脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つで,内臓脂肪蓄積量と高度に相関し,内臓脂肪蓄積を基盤とした病態や脂肪細胞の分化・誘導に関与していると言われている.また,炎症・線維化・免疫調節への関与も報告されており,関節リウマチやベーチェット病,炎症性腸疾患などの炎症性自己免疫疾患での病態に関わることが示唆されている.
  今回我々は全身性強皮症患者において血清ビスファチン濃度を測定し,臨床症状や検査データとの関連について検討を行った.さらにTHP-1細胞およびヒト皮膚線維芽細胞を用いてビスファチンが線維化の過程に及ぼす影響を検討し,全身性強皮症の線維化の病態におけるビスファチンの役割について考察した.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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