抄録
[背景]マウス新規制御性T細胞CD4+CD25−LAG3+T細胞(以下LAG3+Treg)は,転写因子early growth response gene-2(Egr-2)を発現し,強力な自己抗体産生抑制能を示す.Janus kinase(Jak)3欠損マウスではCD4+LAG3+T細胞が増加する.
[目的]Jak阻害薬tofacitinibのLAG3+Treg分化への影響を検討した.
[方法]若齢C57BL/6(B6), NZB/W F1(BWF1)マウスにtofacitinibを4週間持続投与し,脾臓LAG3+Tregをフローサイトメトリーで解析した.tofacitinib添加下にCD4+T細胞を培養し,Egr2の発現を検討した.tofacitinib添加下に培養したCD4+ T細胞をBWF1マウスに養子移入した.
[結果]B6マウスではtofacitinib投与後に脾臓LAG3+Tregが増加したが,BWF1マウスでは若年齢よりLAG3+Tregが減少しており,tofacitinibによるLAG3+Tregの増加も見られなかった.tofacitinib添加下のCD4+ T細胞培養により,B6, BWF1マウス両方でEgr2が誘導された.tofacitinib添加下に培養したCD4+ T細胞はBWF1マウスの抗DNA抗体産生と蛋白尿進展を抑制した.
[結論]Jak阻害薬は生体内のLAG3+Treg分化,試験管内のEgr2発現を誘導し,これらが作用機序の一つである可能性が考えられた.