抄録
関節リウマチ(RA)の治療は薬物療法が主体だが,治療抵抗性はしばしば臨床的問題となる.我々はRAリンパ球上に発現するP糖蛋白質(P-gp)は,細胞内の薬剤排出促進作用を介して治療抵抗性を齎すことを報告してきた.今回,リンパ球のP-gp発現と組織侵襲性との関連性を検討した.
RA末梢血B細胞上P-gp発現は健常人より有意に高く,疾患活動性と正相関して発現した.P-gp発現はB細胞遊走や生存に関与するケモカインレセプターCXCR4発現と強く正相関した.また,その発現は,in vitroでステロイド(CS)添加時の細胞内CS残留濃度と逆相関した.一方,RA患者の滑膜炎組織,間質性肺炎局所に浸潤したB細胞にもP-gp発現を認め,その発現はCXCR4陽性B細胞で顕著であった.さらに,末梢血CXCR4+P-gp+B細胞の著増例では,活動性関節外病変を伴い,TNF阻害療法により炎症病態が改善した症例では,CXCR4+P-gp+B細胞の減少,細胞内CS残留濃度回復が認められた.
CXCR4陽性B細胞ではP-gp高発現が顕著であり,炎症局所に浸潤して病態形成や薬剤抵抗性に関与することが示唆された.末梢血リンパ球上のP-gp発現は滑膜・肺間質局所のリンパ球浸潤を反映しており,末梢血リンパ球上P-gp発現評価は,治療抵抗性の予測および治療選択において有用な指標となることが示された.