日本臨床免疫学会会誌
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総説
インターフェロンα阻害療法
花岡 洋成竹内 勤
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2013 年 36 巻 4 号 p. 181-188

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抄録

  Interferon (IFN)はウイルス増殖をInterference (干渉)する物質として発見されたサイトカインである.近年自己免疫疾患,特に全身性エリテマトーデス(SLE)においてその役割が検証されてきた.その関連転写因子であるInterferon regulatory factor 5遺伝子内の一塩基多型がSLEの疾患感受性遺伝子として同定され,IFN誘導遺伝子群がSLEで特異的に高発現する事実など,IFNαがSLEの病態に関与する可能性が示されてきた.これらの知見に基づきIFNαを標的とした生物学的製剤が開発された.現在までにSifalimumab, Rontalizumab, NNC 0152-0000-0001の3種類の製剤が開発され臨床試験を行なっている.いずれも第IからII相試験実施中であり,その安全性を中心に評価中である.SLEの治療成績は未だ十分でなく,ステロイド療法によるダメージの蓄積が総死亡率を増加させる事実より,新たな疾患修飾薬の開発が望まれてきた.このIFNα阻害療法が新たな治療戦略になりうる可能性を秘めておりここで概説する.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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