日本臨床免疫学会会誌
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総説
骨粗鬆症に適応が拡大された抗RANKL抗体
保田 尚孝
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2013 年 36 巻 4 号 p. 209-216

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抄録

  破骨細胞分化因子RANKLの発見から15年が経過し,破骨細胞分化メカニズムの解明が飛躍的に進んだ.この発見は抗体医薬である完全ヒトRANKL中和抗体(デノスマブ)の開発につながり,2010年頃から欧米を始め,多くの国で骨粗鬆症治療薬および癌骨転移による骨病変の治療薬として臨床応用されている.日本では,2012年から癌骨転移による骨病変の治療薬として臨床応用されているが,本年3月に骨粗鬆症治療薬としても承認された.破骨細胞分化に必須の絶対的因子であるRANKLを標的にした抗体医薬の切れ味は強力であり,多くの患者にとって福音となろう.本稿ではRANKLの発見により,解明された破骨細胞分化メカニズムを紹介し,抗RANKL抗体による強力な骨量増加をマウスモデルにより解説する.RANKL中和抗体を投与するとわずか数日後には破骨細胞が激減し,骨吸収が抑制されることにより,骨量が増加する.この抗RANKL抗体により,破骨細胞を不活性化し,骨量を簡単に増加させることが可能となった.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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