日本臨床免疫学会会誌
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原著
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群)寛解期の末梢神経障害に対する大量γグロブリン療法の有効性
松田 朝子有村 義宏吉原 堅駒形 嘉紀要 伸也山田 明
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2013 年 36 巻 4 号 p. 217-225

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抄録

  近年,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Eosinophilic granulomatosis with polyangitis : EGPA[Churg-Strauss症候群])の末梢神経障害に対し,γグロブリン大量療法が有効であることが示されている.しかしその報告のほとんどは急性期のEGPAを対象としており,寛解期EGPAで長期間残存する末梢神経障害へのγグロブリン大量療法の有効性は明らかでない.長期に持続する末梢神経障害の改善は困難で,生活の質の低下を招いている.そこで我々は,寛解期EGPAでも末梢神経障害が持続する症例に対しγグロブリン大量療法を施行し,その効果を検討した.【対象と方法】末梢神経障害を伴った寛解期EGPA6例(男性0例,女性6例,平均年齢:69.2±5.2歳,寛解維持期間:1か月~7年6カ月)に対し,γグロブリン400 mg/kg体重/日を5日間連日投与(点滴静注)し,投与前後で徒手筋力テスト(Manual Muscle Strength Test : MMT), Visual Analog Scale (VAS)を測定し,生活の質(quality of life : QOL),副作用について検討した.【結果】①運動神経系:四肢30箇所のMMT scoreの合計は,7例中4例で改善を認め(57.1%),平均して10.0±7.2改善した.②感覚神経系:しびれ,痛みに対するVASを測定したところ,7例中6例で改善を認めた(85.7%).γグロブリン大量療法施行前後で,VASの平均は61 mmから46 mmに改善した.③副作用:頭痛を1例に認めるのみで,投与中断例はなかった.【結論】EGPAに対するγグロブリン大量療法は,寛解期に持続する末梢神経障害に対しても安全性の高い有効な治療法と思われた.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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