日本臨床免疫学会会誌
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W1-6  新規自然発症皮膚炎原因遺伝子mattedの同定
佐々木 貴史塩濱 愛子久保 亮治川崎 洋山本 明美山田 健人蜂矢 隆久清水 厚志岡野 栄之工藤 純天谷 雅行
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2013 年 36 巻 5 号 p. 331b

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抄録
 皮膚バリア主要構成成分フィラグリン(FLG)の遺伝子変異は,アトピー性皮膚炎(AD)の発症因子であることが報告された.Flaky tailマウスは体毛異常を示すma変異マウスコロニーから自然発生したマウスで,皮膚炎を自然発症すること,Flg変異(Flgft)を有することからADモデルとして広く使われている.我々が作製したFlg KOは皮膚炎を自然発症しないことから,Flgftとmaを分離した結果,ma/maマウスだけが皮膚炎を自然発症した.ma責任領域を次世代シーケンサーで解読した結果,Matted遺伝子にナンセンス変異を同定した.そのMatted遺伝子をma/maマウスに発現させたところ皮膚炎を発症しないことから,Matted遺伝子が原因遺伝子であると同定した.Matted mRNAは皮膚に発現し,Mattedタンパクは表皮顆粒層細胞質内に網目状に局在した.Mattedタンパクの細胞内局在は細胞内小胞輸送に関与するTrans-Golgi networkのマーカータンパクと最も一致した.ma/maマウスでは小胞輸送により細胞外分泌される角質層形成タンパク群が減少し,角層剥離異常を認めた.以上の結果から,ma/maマウスの自然発症皮膚炎はMatted遺伝子の欠損が原因であり,この結果は皮膚バリア異常と皮膚炎発症のメカニズムを解明する重要な手がかりとなると考えられる.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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