日本臨床免疫学会会誌
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W4-3  ヒト胆管上皮細胞におけるTL1A産生機構の解析
相葉 佳洋小森 敦正伊東 正博右田 清志八橋 弘中村 稔
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2013 年 36 巻 5 号 p. 341a

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抄録
【背景・目的】我々は,日本人原発性胆汁性肝硬変(PBC)の新規疾患感受性遺伝子としてTNFSF15(TL1A)を同定した.また,日本人PBC患者の血中・肝局所においてTL1Aの発現が上昇していること,肝局所におけるTL1A陽性細胞が胆管細胞,血管,クッパー細胞,浸潤単核球であることを明らかにした.今回,ヒト肝内胆管上皮細胞(HIBEC)におけるTL1A産生機構の解析をおこなった.【方法】HIBECを炎症性サイトカイン,TLRリガンドで刺激し,TL1A発現をELISAまたは定量PCRにより測定した.TL1A産生機構を各種阻害剤(MAPK阻害剤,TAPI-1,siRNA)を用いて検討した.【結果】HIBECにおいてTL1Aは恒常的に発現しており,可溶型TL1AはTL1A誘導因子として報告されているTNF-α,IL-1β,LPS刺激で増加しなかったが,polyI:C刺激により増加した.polyI:Cによる可溶型TL1A産生は,MAPK阻害剤(SB202190,PD98059)により阻害されなかったが,TAPI-1,MAVS siRNAにより阻害された.また,このTL1A産生機構は,PBC疾患感受性遺伝子で小胞体ストレス応答に関与するORMDL3非依存的であった.【結論】胆管上皮細胞における可溶型TL1A産生機構に,RIG-I/MDA-5経路を介したTL1AのEctodomain sheddingが関与していることが示唆された.このTL1A産生機構が,PBCの病態形成に関与して可能性が考えられた.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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