抄録
【背景】以前我々は全身性強皮症(SSc)患者と健常者(HC)の末梢血リンパ球亜分画から抽出したRNAを用いた網羅的遺伝子発現解析にて,SSc患者CD8+エフェクターメモリーT細胞でDNAM-1の発現が亢進していることを見出した.DNAM-1はSScなど多くの自己免疫疾患における疾患感受性遺伝子として注目されている.【目的】SSc患者末梢血リンパ球上のDNAM-1の発現を解析し,SSc病態との関連を明らかにする.【方法】SSc 34例とHC 21例について末梢血リンパ球上のDNAM-1の発現をフローサイトメトリー(FCM)にて測定した.末梢血CD8+T細胞を刺激後,DNAM-1陽性および陰性細胞における各種サイトカイン産生をFCMにて比較した.末梢血CD8+T細胞をヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と,抗DNAM-1阻害抗体存在下または非存在下にて共培養し細胞傷害活性を測定した.【成績】SSc患者CD8+T細胞ではDNAM-1brightの割合(SSc 52.6%,HC 33.3%)およびDNAM-1発現量が有意に高かった.DNAM-1発現量はびまん型SScおよび間質性肺炎合併SScで高く,スキンスコアと正の相関,%VCと負の相関を認めた.刺激実験ではDNAM-1陽性CD8+T細胞でIL-13産生が有意に多かった.CD8+T細胞とHUVECの共培養に抗DNAM-1阻害抗体を加えるとHUVECの細胞死が部分的に抑制された.【結論】SSc患者CD8+T細胞ではDNAM-1の発現が亢進しており,血管内皮細胞傷害や向線維化サイトカインIL-13産生を介してSScの病態に関与している.