日本臨床免疫学会会誌
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W9-5  「MS」多発性硬化症
宮本 勝一
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2013 年 36 巻 5 号 p. 363

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抄録
 多発性硬化症(MS)は,中枢神経の炎症性脱髄疾患で,ミエリン塩基性蛋白などの自己抗原に対する免疫反応によって生じる.自己免疫説の他に,ウイルス説も提唱されており,前者に相当する動物モデルが実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)であり,後者に相当するのがタイラーウイルス慢性持続感染モデル(TMEV-IDD)である.EAEは中枢神経髄鞘蛋白をアジュバントと共に免疫することで中枢神経に脱髄を生じる.細胞性免疫が主体と考えられ,末梢リンパ組織で増殖した抗原特異的リンパ球が中枢神経内へ侵入し神経髄鞘を攻撃する.一般的には誘導後10日前後から麻痺が出現し,20日前後でピークを迎え,その後は徐々に軽快し30日前後で回復する.またin vitroで培養した抗原特異的リンパ球をマウス個体に注射することでもEAEが誘導できる(adoptive transfer).しかしEAEの病態がMSと同じではないという議論があることに留意する必要がある.TMEV-IDDは一部のMSの病態を表しているとされ,弱毒性群と強毒性群によるモデルがある.EAEでは神経線維の外側の髄鞘が障害されたのち,内側の軸索が二次的に損傷されるが,TMEV-IDDでは反対に内側の軸索が障害され,脱髄がそれに引き続いて起こる.これらの動物モデルは,MSの病態解明や新規治療法開発において多大な貢献をしており,現在MS治療薬として使用されている多くの薬剤が動物モデルの実験を経ている.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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