日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P5-06  抗IL-6受容体抗体は関節炎モデルにおける骨代謝マーカーのバランスを改善する
吉田 広人位高 美香鈴木 美穂田中 圭介松本 功住田 孝之松本 義弘
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2013 年 36 巻 5 号 p. 394a

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抄録
【背景】臨床で関節リウマチに認められる骨量減少をマウス関節炎モデルで再現でき,この骨量減少はIL-6シグナル阻害によって抑制できることをこれまでに明らかとしてきたが,この時の骨代謝マーカーの変動は明らかではない.【目的】関節炎モデルにおいてIL-6シグナル阻害による骨代謝マーカーへの影響を解析する.【方法】コラーゲン誘導関節炎に対し抗マウスIL-6受容体抗体(MR16-1)をDay0と21に投与した.一方,TNFR-FcはDay0から週3回投与し続けた.関節炎ピーク(Day35)に尿と血清を採取し,尿中骨吸収マーカー(CTX,DPD)と血清中骨形成マーカー(P1NP)をELISAで測定した.Day56に腰椎と後肢を採材しμCTにて骨量を測定した.【結果】関節炎マウス(対照群)の骨量は後肢,腰椎ともに正常群に比べ有意に減少した.MR16-1群は両部位で骨量減少を抑制したが,TNFR-Fc群は後肢の骨量減少のみ抑制した.CTX,DPD共に対照群では正常群に比べ有意に上昇したが,どちらの薬剤ともCTX,DPDの上昇を抑制していた.P1NPは対照群で正常群に比べ有意に減少し,MR16-1群はP1NPを有意に上昇させた.一方,TNFR-Fc群は対照群と有意な差がなかった.【考察】関節炎マウスでは骨吸収が亢進しているにも関わらず骨形成が抑制されている状態にあり,抗IL-6受容体抗体は骨吸収の亢進を抑制し,骨形成を促進させることでアンカップリング状態を改善し,骨量減少の抑制作用を発揮している可能性が考えられた.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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