実践政策学
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鉄道利用促進に向けたモビリティ・マネジメントの効果と推進体制の検討
大野 悠貴伊地知 恭右原 文宏
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2019 年 5 巻 2 号 p. 147-158

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抄録
本研究では、鉄道利用促進に向けたMMの手法と効果の検証、推進体制のあり方の検討を目的に、青森県弘前市の弘南鉄道大鰐線におけるMMの取組みを整理したうえで、同様の手法で「時期」と「場所」を変えて2015年から2016年の2か年に渡り実施した沿線住民を対象としたTFPの成果を整理・分析した。その結果、施策対象駅における大鰐線の利用に関する心理指標の変化、TFP対象駅の利用者数の変化を確認できただけでなく、大鰐線全体の利用者数の減少傾向緩和・収入増加というマクロ的効果も把握できた。加えて、MMの持つ中長期的な効果を期待し難いという特性を踏まえ、MMの継続的な実施には実施主体が多様であることが重要であり、MM推進体制として多様な実施主体をゆるやかにまとめ、MMに係るツール・ノウハウのアドバイスや支援をする、公共交通の維持に資する様々な活動の受け皿となり得る組織や仕組みの存在が必要であることを示した。また、市民・住民参加の視点から、実施主体の多様化にともなう注意点として、MMをはじめとする公共交通の維持に資する活動が、各主体の大目的の達成に貢献できることを考慮した働きかけの必要性も論じた。
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© 2019 実践政策学エディトリアルボード
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