抄録
【目的】FDG-およびNaF-PETを従来の画像診断所見と比較検討することで,関節リウマチ(RA)における炎症と骨代謝,骨破壊・修復との関連を明かにする.【方法】対象はRA患者12例(女性10例,年齢60.0歳,罹病期間6.8年).生物学的製剤治療新規導入時(9例),変更時(3例),両手のFDG-PET,NaF-PET,X線を撮影し,X線の変化(Genant-modified Sharp score)と疾患活動性(DAS28,SDAI)との関連を解析した.【結果】関節内局在をみると,FDGの集積の主体は滑膜,NaFは骨であった.FDGは臨床的腫脹関節に集積が強く,その集積の総和は疾患活動性と相関した.総NaF集積は疾患活動性だけでなく,HAQスコア(ADL障害度)とも相関した.個々の関節におけるFDGとNaF集積はほぼ相関するが,骨棘などのOA変化では解離を認めた.半年の経過における総Sharpスコアの変化は総FDG集積より総NaF集積とより強く相関した.そのサブ解析では,関節裂隙狭小化(JSN)が総NaF集積と相関した.骨びらんの進行を認めた関節を個々に解析すると,ベースラインのFDGおよびNaF集積陽性率はぞれぞれ62%(8/13),92%(12/13)であった.【結論】RA病変において,FDGとNaFの集積の関節内局在には違いがあるものの,個々の関節における両核種の集積度は相関し,RAにおける炎症と骨変化が一連の病理変化である可能性が示された.両核種を比較すると,骨破壊および形成性病変は,NaF-PETでより明確に描出された.