日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-07  抗好中球細胞質抗体関連血管炎における血栓症発症の危険因子についての検討
中川 育磨渡邊 俊之秋田 佳奈恵大村 一将神田 真聡野口 淳史志田 玄貴河野 通仁栗田 崇史奥 健志坊垣 暁之堀田 哲也保田 晋助渥美 達也
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2013 年 36 巻 5 号 p. 406b

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抄録
【背景】抗好中球細胞質抗体関連血管炎(AAV)において,血栓症は重篤な臓器病変の一つである.【目的】AAVにおける血栓症発症の危険因子を明らかにする.【方法】2000年1月から2012年12月の間で当科に入院し,副腎皮質ステロイド単剤あるいは免疫抑制剤との併用で治療を開始した初発のAAV(顕微鏡的多発血管炎,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,多発血管炎性肉芽腫症)の患者56例(女性39例,男性17例)を対象とした.血栓症の発症をエンドポイントとし,患者背景,初診時の疾患活動性,内服薬や動脈硬化促進因子などと血栓症との関連を後ろ向きに解析した.【結果】56例の年齢中央値は66歳(IQR 58-70歳),観察期間中央値は38ヶ月(IQR 11-57.5ヶ月)であった.10例(17.8%)が血栓症を発症し,その内訳は動脈血栓症4例(脳梗塞2例,眼動脈分枝閉塞症1例,網膜中心動脈閉塞症1例),静脈血栓症6例(深部静脈血栓症5例,下大静脈血栓症1例)であった.血栓症の危険因子について,Cox比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行い,疾患活動性の指標であるfive factors score (FFS)1点以上(p=0.016),免疫抑制剤の非使用(p=0.010)が抽出された.【結語】初診時でのFFS1点以上は血栓症のリスクであった.免疫抑制剤の使用は,血栓症を予防する可能性が示唆された.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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