日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P8-03  ループス精神病における頭部MRI所見の検討
有沼 良幸菊地 弘敏小川 英佑和田 達彦永井 立夫田中 住明廣畑 俊成
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2013 年 36 巻 5 号 p. 409b

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抄録
【方法】ループス精神病(diffuse psychiatric/neuropsychological syndrome)を呈した全身性エリテマトーデス患者53例を対象とした.過去の病歴より頭部MRI所見を含むデータの抽出し後ろ向きに解析を行った.【結果】53例中25例(47.2%)において頭部MRI異常所見(皮質病変5例,白質病変18例,髄膜病変3例,小脳脳幹病変1例,出血性梗塞2例)を認めた.経時的なMRI所見が得られた17例中では,治療後全例精神症状の改善を認めたが,7例(41.2%)ではMRI所見の改善はなかった.頭部MRI所見の有無と診断時年齢には明らかな関連を認めなかったが,頭部MRI異常を有した患者はSLE罹病期間が有意に長期であった(p=0.0284).MRI所見の有無と,抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,抗リボソームP抗体および抗リン脂質抗体陽性との間には有意な相関を認めなかった.一方,髄液中のIL-6値は頭部MRI異常を有する患者において有意に上昇していた(p=0.0223).また頭部MRI異常を有する患者ではその後の観察期間における死亡率が有意に高かった(p=0.0348).【結論】以上より,ループス精神病おける頭部MRI異常所見の出現には複数の病態が関与していると考えられる.さらに,頭部MRI所見を有する患者はより重症の病態を呈していることが示唆された.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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